冷えた緑茶でわってみると

屋台に寄って焼き鳥を買って、それからビールを買って帰ろうと思った。結構大人数が入っていたので暖簾から顔を差し込んで大将に注文をだそうとしたところへおばちゃん 3 人組が雪崩込んで来た。

「いやぁ、こないなってんや、中は」とか「ひゃぁ、えらい渋いマスターがおってや」とか「屋台があるのはせんど前から知っとったやけどな、初めてやは、入るのは」とか「あんた、独りできてん、若い娘やのに勇気あるなぁ」とか「なにがあるの、うちとりあえずねぎまやで」やら「これなに? このまるっこいやつ」やら「あ、屋台ってトイレないのやな」やら「なんや、色気のない、屋台に入っていきなりトイレの心配か」やら「どこぞ近くにトイレないの、さきに済ましとかな」やら「ひゃっ、あんたティッシュもってか?」やら「マスター、ここ何時までやってん」やら「何時からやってん、こんどうちら花見やるねん、はよからやってんやったら、ここで焼き鳥こうてこかな、おもて」やら「あんた、 35 人やで、今度の花見は、マスター、なんぼなんでも 35 人前ちゅうのはなぁ」やら「なに言うてん、ちゃんとバッテラも注文してんがな」とか「あんた、お嬢さんって、あんた近所か?」やら「ふ〜ん、お勤めがここいらかいな」やら目茶苦茶にまくし立てるので大将もこちらも注文を通すのが、大変であった。

その 3 人組が注文に取りかかる前に、大将の方から、「ちょっとまって、こっちの注文先やさかいに」と制止して、それから「わからんようになるから、済まんけどそこにメモしてくれるかいな」と、 3 人組が入って来て隅っこに押しやられた女性にメモを頼む。先に通っていた注文の品を焼いてからこちらの注文をメモを見ながら揃えて焼きに掛かるが、その都度 3 人組のおばちゃんが「それ、なに?」とか「いやぁ、うちもそれ貰うわ」とか「塩とタレとえらべんの、へぇ、どっちにしよ、どっちがええんかいな」とかちゃちゃをひっきりなしに入れるので焼きの作業は遅れに遅れる。

やっとこさアイガモとハツとネギマを 3 串づつ焼いてもらって「すませんな、すんませんな」と何度も頭を下げる大将に「いえいえ」とこちらも何度も相槌をうちつつ支払いを済ませてからビールの自動販売機にダッシュしたろころが…。赤いランプがずらずらと…。腕時計を見るに、未だ 3 分前なのだがなぁ。

ビールを諦めてバーボンを飲むことに、が、氷が無い。まったくストレートではきつい。オンザロックでないとねぇ。試しに冷えた緑茶でわってみると、これがあなた!